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今後の著作権のあり方について考える 5
- 349 :デジタルデータ非営利コピーフリー論(仮) :04/05/30 11:49
ID:U+9mHYvl
- 私は今ここで、惜しげもなく一編のポエムを公開することにした。
『蟹』
私は蟹
脳味噌はカラッポ
でも
蟹味噌はタップリ
そこがミソ
どうだ素晴らしいだろう。この感動的な愛のポエムの著作権者は私である。
このポエムがどんなに素晴らしいからといって、私の許可無くこれを印刷して売っては
いけない。私の許可無く朗読して儲けるのも駄目。私の許可無く他の掲示板等にコピペ
してもいけない。もちろん私の許可無くP2Pに流すのも御法度。
それらはすべて著作権法違反、犯罪である。
皆のコンピューターのハードディスクにコピーされるのは致し方無い。
それは個人利用の範囲である。
このように著作権法は私の素晴らしい作品を守ってくれる、・・・・ことになっている。
でもなんか変だぞ。私は私の素晴らしい愛のポエムをここにこうやって書いた。
それを日本中、いや下手をすると世界中の何万何十万という人達が見た瞬間、すでに
ハードディスクにコピーされているわけだ。これでは実質的に著作権法は無いのと同じ
ではないか。
- 350 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:50
ID:U+9mHYvl
- コンピューターとは、他の諸々の機械装置と同様、我々人間の能力を補佐する装置で
ある。それは強力な計算機であるが、同時に強力な記憶装置でもある。
我々はコンピューターを使うことによって、以前には考えられないほどの強力な記憶能力を
手に入れた。
私が私の素晴らしい愛のポエムを大道芸人よろしく道端で朗読したなら、それは道行く
人々の心に一瞬刻まれはするが、そのほとんどはすぐに薄れ、消え去るだろう。
だがひとたびインターネット上に書き込めば、それは世界中の何万何十万というハード
ディスクに記憶され、意図して消さない限り、ほとんど薄れずほとんど消えない。
私の愛のポエムを感動のあまり一生忘れないほど深く心に刻み付けた人の記憶を誰も
消すことができないように、いやそれ以上に、コンピューターの記憶を消すことはできない
のである。その気になれば半永久的に記憶され複製され続ける。
コンピューターの手の届く範囲であれば、コンピューターを手に入れた我々にとって、
著作権法は何ら力を持ち得ない。何かを著作権法で守りたいのであれば、コンピューター
の手の届かない場所にそれを置くしかない。
インターネット上には、作者が著作権を半ば放棄したものしか存在しえないのである。
コンピューターの集合体であるインターネットが、デジタルデータで成り立っていることは
言うまでもないだろう。そしてほぼ全てのデジタルデータは著作物である。インターネットは
著作物で成り立っているのである。
全ての著作物の全ての著作権を全うしようと思えばインターネットは成り立たず、インター
ネットを成り立たせるためにはその内容に応じて著作権を諦めなくてはならない。
インターネットというメディアと著作権という考え方は相容れないのである。
- 351 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:50
ID:U+9mHYvl
- 結局インターネットを取るか著作権を取るかという問題ではあるが、現行著作権法が
インターネットという大きな可能性の場を狭めてしまっていることは間違いない事実である。
何かをアップロードしようと思ったら、そのたびに著作権の問題に煩わされなくては
ならないからだ。
例えばBBSでの楽しい会話のひとこま。
「ドラえもんの歌の歌詞どんなんだっけ?」
手元に歌詞カードがあっても、答えてはいけない。
「しずかちゃんの髪型どんなだっけ?」
画像をアップすれば一発であるが、もってのほかである。
どちらも公衆送信権の侵害に当たり、犯罪である。
これではインターネットの魅力半減である。能力半減である。可能性半減である。
いっそのこと、「デジタルデータは非営利目的なら複製権と公衆送信権は適用されない」
と決めてしまった方が、マクロな視点では我々を豊かにするのではないだろうか。
著作権法第一条に謳う「文化の発展に寄与すること」となるのではないだろうか。
もちろん全く問題が無いわけではない。何かのデジタルデータが一旦販売されるや否や、
世界中にばら撒かれる可能性がある。それは原理的に、一個売れればそれで終わりうる
ことを意味する。
それではそもそも商売が成り立たず、新しい商品は全く現われなくなるかもしれない。
それが文化の衰退を招くと考える人は多いだろう。
だが本当にそうだろうか。一つ一つ考察してみることにする。
- 352 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:51
ID:U+9mHYvl
- #ソフトウエア(ゲーム除く)
ソフトウエアの世界では、優秀なフリーソフトが多数公開されており、特殊な業務用途
でない限り充分事足りることは周知の事実である。かく言う私もハードウエア付属のソフト
を除けばOS以外全てフリーソフトを愛用している。一般的には何ら問題は無い。
ではソフトウエア業者は何を売ればよいのか。
ひとつには、カスタマイズ・アップデート等のサポートサービスである。
またソフトウエアが全て自由にインターネット上に流通するようになった場合、スパイウエア
等を仕込んだ改ざんファイルが出回ることが予想される。現在すでに出回っているとの
噂も聞く。そのようなファイルの被害を受けない「安心」もまた、サポートサービスと合わせて
商品となるはずである。
これらは特に業務用途において重要である。誰もソフトウエアに金を払わなくなるという
ことはありえない。コピーフリーとなったところで現在の状況とそれほど変わらないと考え
られる。
また、業務用途なら高額であってもオーダーメイドの需要があるだろう。それを社外に流出
させた場合は、社内規定なり専用の法律なりで処理すればよい。
著作権法の出番ではない。
#ゲーム
現在ゲームの主流は専用のゲーム機である。パソコン用ゲームソフトは少ない。
ゲーム機用ソフトは形態としてはCDだが、コピープロテクトが掛かっているのではないか。
それでも駄目なら自社ゲーム機専用規格の光ディスクを作ってしまえばよい。特に問題は
無いと思われる。(申し訳ないがゲームのことはよく知らない)
- 353 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:52
ID:U+9mHYvl
- #映画・演劇・音楽・写真・絵画等(ビデオ映画・スタジオ音楽・デジタル写真・CG等除く)
これら美術・芸術に類するものたちは、その本来の姿はデジタルデータではない。
映画は映画館のスクリーンと音響装置で鑑賞されるべきものであり、演劇は劇場等で、
音楽はコンサート会場等で体験されるべきものであり、写真・絵画はオリジナルをその
大きさ・表面の質感を含めて物体として鑑賞されるべきものである。そのような仕方でしか
その作家の「表現」は、創造した「作品」は、鑑賞されえない。
デジタル化されDVDやCDに収められたデータは、それら「作品」の不完全なコピー、
あるいは一部分でしかない。それは良く似てはいるが、決して本物ではない。
DVDやCDの形でこれら「作品のようなもの」が流通することに馴らされてしまった我々は、
本来の「生きた芸術体験」を忘れてしまっている。これこそ文化の衰退でなくてなんで
あろう。
本当に著作権法が「文化の発展に寄与することを目的とする」ならば、まがい物には
それなりの価値しかないということを正しく認識するべきである。
これらのデジタルデータ化された「パッケージ作品」が商品として成立しなくなったとしても、
それが即座に文化の衰退に結びつくものではないのである。
- 354 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:52
ID:XWsq0ozP
- もうここまで解明されて追跡出来るよ。
47氏より、お前ら自身の心配しろよ。
http://ime.nu/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040530-00000003-kyt-l26
- 355 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:52
ID:U+9mHYvl
- #ビデオ映画・スタジオ音楽・デジタル写真・CG等
これらにはオリジナルとか本来の形とかは初めから存在しない。TVやパソコンの
ディスプレイに映り、オーディオ機器のスピーカーから発せられて初めて、形を成すもの
だからである。
TV・パソコン・オーディオ機器等の再生装置が変われば、その現われ方も大なり小なり
変わってしまうのだ。これらにおいては、その記録されたデータこそが「作品」の全て
である。作者の「表現」の全てである。
これらが商品として成立しなくなれば、それは映画・演劇・音楽・写真・絵画等の場合と
違って、即このジャンルの文化の命取りか。
決してそんなことはないだろう。デジタル機器の性能は日進月歩。価格も家庭の電気製品
と変わらない。誰もが作者となって表現できる時代なのである。職業としての「作家」は
滅びるかもしれないが、「文化」は滅びるどころか商業主義から解放されて大きな可能性
の前にある。
(*
なお一般的なフィルム映画も映写機や映画館によって現われ方は変化するが、映画館
の大スクリーンと走査線の荒いプロジェクター・ディスプレイ、映画館の大規模音響装置と
家庭のオーディオ機器では、その情報量・迫力に大きな差があることから、こちらからは外した)
- 356 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:53
ID:U+9mHYvl
- #文学・論文等
これらは形態としては今のところ印刷物が普通であって、デジタルデータの形で流通して
いるものはほぼ全て初めからインターネット上に公開されたものだろう。
それは事実上著作権(正確には複製権と公衆送信権)を放棄したのと同じだ。
問題となるのは書籍等からデジタルデータ化される場合だが、これはとてつもない労力を
必要とする。将来印刷された文字をスキャンして簡単にデジタルデータ化することができる
ようになる可能性はあるが、ディスプレイに映った文章は読みにくいし、かといって自家
製本は手間がかかるうえに仕上がりも悪い。本の需要が無くなることは考えにくい。
#事典・データベース・図面等
現在これらは印刷物とデジタルデータ形態の両方があるが、今後はデジタルデータ形態が
主流になると思われる。印刷物の場合は、ほぼ文学・論文等と同様と考えていいだろう。
問題は初めからデジタルデータの場合だが、それが一般向けの商品である場合は諦める
他無いだろう。商品としては成立しにくい。
しかしそもそもこれらは「資料」であって、美術・芸術・学術等の「表現」とは性格が異なる。
著作権法で縛るよりも公共性を重視して大いに公開されることが望まれる。それはまさに
「文化の発展に寄与すること」である。
企業向けデータベース等に関しては、業務用途のソフトウエアと同様に考えればよい。
- 357 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:53
ID:U+9mHYvl
- #全ジャンル
ソフトウエア(ゲーム除く)で触れた改ざんファイルの問題は、多かれ少なかれ全ジャンル
について回る。インターネット上にこれらのファイルがアップロードされていたとして、
それが本物である保証はどこにもないのである。ファイルサイズやMD5などの値を見れば
分かるが、その値が本当である保証もどこにもないのだ。それがインターネットである。
正式なサイトでフリー公開されているものなら安心だが、そうでないならば、確実に本物を
手に入れたければ正式に買うしかないのである。デジタルデータ商品の需要がゼロになる
ことはありえない。
このように見てくると、「デジタルデータは非営利目的なら複製権と公衆送信権は適用
されない」としても、それが文化の衰退に結びつくものではないと考えられる。
産業としては縮小されざるをえないのは確かだが、完全に滅びるとは考えにくく、むしろ
現在の過剰な保護がインターネット文化の可能性を潰している害悪の方が大きいであろう。
産業も文化のひとつであると言うことはできるが、それは、現行著作権法が守るものは主に
産業であって本当の意味での文化ではないと言っているようなものである。
もしも本当に著作権法が「文化の発展に寄与することを目的とする」ならば、そしてインター
ネットが新しい文化の形として大きな可能性を持つことを認めその発展を望むならば、
現行著作権法の適用範囲は制限されるべきである。
- 358 :[名無し]さん(bin+cue).rar :04/05/30 11:54
ID:U+9mHYvl
- 以上、現行の著作権法の枠組みは変えずに、その適用範囲を制限することを提案して
みたが、実のところ美術・芸術・文学・学術等の「表現されたもの」と、道具性の強い
ソフトウエアを同じく「著作物」として同列に扱うことには無理があると感じる。資料性の強い
事典・データベース・図面等よりも、その違和感は大きい。
ソフトウエアは著作物というよりも、むしろ特許や実用新案といったものに近いだろう。
簡単にコピーして即使用できることから著作権法で保護するようにしたのだろうが、特許法
や実用新案法に条文を加えて扱ったほうが違和感が少ないと思われる。あるいはいっそ
「ソフトウエア法」なる独立した法律を作るべきかもしれない。
なお、デジタルデータがコピーフリーとなったら、「他人の所持するデジタルデータ」まで勝手
にアップロードされると心配する向きもあろう。
だがそれは全くの杞憂である。それは著作権以前に窃盗であるから。
またそのアップロードにより他人のプライバシーを侵害したり、名誉を傷つけたりした場合も、
専用の法律で処理すればよい。あたりまえである。
そうそう、忘れるところだった。当然であるが、私はこの一連の書き込みに関して複製権と
公衆送信権を放棄している。冒頭の素晴らしい愛のポエムも含めて、営利目的でない限り
自由にコピペしていただいて結構である。
それから私は頭が悪く知識も乏しいので、たったこれだけの考えをまとめ、文章をまとめる
のに何日もかかった。もう余力はない。ネタ切れである。長いわりには内容は少ない。
もし反論されても同じことを繰り返すしかできないかもしれない。悪しからず。
- 856 :349-358 :04/05/31 17:32
ID:4LS8leav
- というか、文化財なんだから税金使ってアーカイブ作るべきだよね。
NASAなんかはハッブル宇宙望遠鏡や火星探査機が撮った写真の数々を
惜しげもなくネットに公開してる。
一昔前なら想像すらできなかった夢のような写真を見るにつけ、インターネットって
素晴らしいなって思う。
個人の著作物の問題は置いといて、せめて文化財くらいはインターネットの恩恵を
利用しない手はないよ。
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